この記事で分かること
- ネットを使う小中学生の9割近くがゲームをしていて、「ゲームばかり」は特別な状態ではない
- 心配したほうがいいかどうかの線は、時間の長さではなく「生活に支障が出ているか」
- 取り上げる前に、「何を」「どう」遊んでいるかを知る、という選択肢がある

こんにちは。経堂でプログラミング教室をやっている鈴木です。教室の責任者で、不登校訪問支援カウンセラーでもあります。
お子さんが学校に行っていない時期に、家でずっとゲームをしている。親としては「このままでいいのかな」と不安になりますよね。
私は医師ではないので、医療の判断はできません。ただ、うちはゲームを作る教室なので、ゲームが好きな子と過ごす時間は長いほうです。「ゲームばかり」という言葉の中には、いろんなものが混ざっていると思っています。今日はそれを、数字と、親が迷いやすいところと、選択肢の3つに分けて書きます。
1. 「ゲームばかり」は、どれくらい普通のことなのか
まず数字から。こども家庭庁の2024年度の調査では、インターネットを使っている小学生(10歳以上)の86.6%、中学生の86.7%が「ゲームをする」と答えています。インターネットの利用率そのものが小学生で97.2%、中学生で98.1%なので、ほぼ全員がネットを使い、そのうち9割近くがゲームをしている計算です。
時間も見ておきます。同じ調査で、平日1日のインターネット利用時間は小学生(10歳以上)で約3時間44分、中学生で約5時間2分。これは動画や検索、勉強も含めた合計ですが、「うちの子だけ長い」と感じていたなら、少し見え方が変わる数字かもしれません。
ここで、学校に行っていない子の場合に起きることをひとつ。学校に行っている子は、朝から夕方まで学校にいて、帰ってきてからゲームをします。学校に行っていない子は、同じ時間を家で過ごします。ゲームの時間が同じでも、家にいる時間が長いぶん、親の目には「ばかり」に映りやすいんです。

もちろん、だから放っておいていい、という話ではありません。でも「ゲームばかり」が、その子にだけ起きている異常事態かというと、数字の上ではそうではない。ここをまず押さえておくと、次の話が落ち着いて読めると思います。
2. 親が迷うところ。「依存じゃないか」「取り上げるべきか」
親の心配は、大きく分けると2つあると思います。「これって依存なんじゃないか」と、「取り上げたほうがいいのか」です。
「依存じゃないか」について。 WHO(世界保健機関)は2019年に「ゲーム障害」を国際的な病気の分類(ICD-11)に入れました。その定義を、ざっくり言うとこうです。(1)ゲームの時間や頻度を自分でコントロールできない、(2)ほかの生活上のことよりゲームを優先する、(3)困ったことが起きてもやめられない。この3つがそろい、生活に重大な支障が出ている状態が、原則12か月以上続いている。
ポイントは、「何時間やっているか」は条件に入っていないことです。長時間でも、食事や睡眠がとれていて、声をかければ切り上げられて、ゲーム以外のことにも気持ちが向くなら、それは「ゲームが好きな子」です。逆に、時間が短くても、睡眠や食事が崩れて、ゲームを巡って毎日ぶつかっているなら、そちらのほうが気にしたいサインです。診断は医療の領域なので、私がここで言えるのは「線の引き方はこうらしい」というところまでです。
「取り上げるべきか」について。 ここは正直、どの家庭にも当てはまる答えはないと思っています。ただ、学校に行っていない子にとって、ゲームが「唯一、気持ちが楽になる時間」や「友だちとつながる場所」になっていることもあります。オンラインゲームの中では、学校とは別の仲間と毎日会っている、ということもあります。そこをいきなり取り上げると、ゲームと一緒に「安心できる場所」も取り上げることになりかねない。取り上げるかどうかを決める前に、その子にとってゲームが何になっているのかを知っておく。それだけでも、話し合いの入口は変わると思います。
一方で、昼夜が逆転して朝まで続くようなら、ゲームそのものより生活リズムのほうが先に困りごとになります。文部科学省が2025年に公表した不登校経験者(18〜59歳)へのインターネット調査でも、中学校卒業後に「生活リズムが乱れて苦労した」ことがあったと答えた人は55.5%でした。ゲームを責めるのではなく、「寝る時間だけは守る」のように、話し合う対象をしぼるという考え方もあります。

3. 取り上げる前にできること、3つ
ここからは、「取り上げる」と「放っておく」の間にある選択肢を3つに整理します。どれが正解ということはなくて、ご家庭に合うものを選ぶ形です。
何のゲームを、どう遊んでいるかを聞く。 「ゲーム」とひとことで言っても、中身はまったく違います。対戦で勝ち負けを競っている子、友だちと通話しながら遊んでいる子、マインクラフトで延々と建築している子、攻略動画を見て研究している子。「それ、どうやって作ったの?」と聞かれて、嫌な顔をする子は少ないんじゃないかと思います。ここから、その子が何に夢中なのかが見えてくることがあります。
時間ではなく「終わり方」と「寝る時間」を一緒に決める。 「1日2時間」のような時間制限は、オンラインの対戦ゲームだと途中で抜けられず、かえって揉めやすい。「この試合が終わったら」「23時には画面を消す」のように、区切りと睡眠だけを決める家庭もあります。親が一方的に決めるより、本人も一緒に決めたほうが話し合いやすい、という考え方もあります。
睡眠や食事が崩れているなら、相談先に話す。 2章の線引きに当てはまりそうなら、親だけで抱えなくていいところです。体のことなら小児科やかかりつけ医。学校に行っていないこと全体の相談なら、世田谷区の教育総合センター(若林)にある「不登校支援窓口」と「総合教育相談ダイヤル」、東京都教育相談センター。ゲーム依存を専門に診ている医療機関(国立病院機構 久里浜医療センターなど)もあり、家族からの相談を受けているところもあります。
ひとつだけ、ゲームを作る教室をやっている立場から足しておきます。ゲームが好きな子の中には、遊ぶ側から「作る側」に興味を持つ子もいます。これは全員ではないし、プログラミングが合わない子もいます。ただ、「ゲームばかり」の中に、その子の夢中になれる力の入口が隠れていることはあると、私は思っています。
まとめ
- ネットを使う小中学生の9割近くがゲームをしている。「ゲームばかり」は、うちの子だけの異常事態ではない
- 線引きは時間ではなく、睡眠・食事・生活に支障が出ているか。それが続くなら相談先へ
- 取り上げる前に、「何を」「どう」遊んでいるかを聞く。終わり方と寝る時間だけを一緒に決める
「ゲームばかり」と言いたくなる気持ちは、親としてとても自然なものだと思います。でもその画面の向こうで、その子が何を見ているのかを知ると、同じ光景が少し違って見えることがあります。そのきっかけになれば、この記事の役目は果たせたかなと思います。
著者:鈴木岳史
iTeen経堂駅前校 オーナー・教室責任者/不登校訪問支援カウンセラー
参考・出典
- こども家庭庁「令和6年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)」2025年3月(2026年11月4日確認)
- WHO「Addictive behaviours: Gaming disorder」ゲーム障害の定義、ICD-11(2026年11月4日確認)
- 文部科学省「不登校経験者等を対象とする調査」報告書(概要)2025年(2026年11月4日確認)
- 世田谷区 教育総合センター「不登校支援窓口」「総合教育相談ダイヤル」(2026年11月4日 区の公式サイトで確認。受付時間は最新情報をご確認ください)
- 東京都教育相談センター/国立病院機構 久里浜医療センター

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