不登校の中学生、昼夜逆転を責めずに生活リズムを戻すヒント

この記事で分かること

  • 昼夜逆転は、本人の意志だけの問題とは限らない。思春期には睡眠のリズムが後ろにずれやすい
  • 朝起きられない背景に、起立性調節障害や睡眠の障害があることもある。判断は医師の領域
  • 「早く寝なさい」のほかにも、朝の光、昼の過ごし方、相談先という選択肢がある
夜に目がさえている子と「いつまで寝てるの」と言いたくなる親の絵の横に、昼夜逆転の背景として考えられる思春期のリズムのずれ、午前の光を浴びにくい生活、意志だけでは抗えないこと、体の不調の4つを並べた図

こんにちは。経堂でプログラミング教室をやっている鈴木です。

教室長で、不登校支援カウンセラーでもあります。医師ではないので、医療の判断はできません。

お子さんが明け方まで起きていて、夕方近くにやっと起きてくる。学校に行っていない時期にそんな生活が続くと、親としては「このままで大丈夫かな」と不安になりますよね。つい「いつまで寝てるの」と言いたくなるのも、自然なことだと思います。

厚生労働省の睡眠ガイドと日本小児心身医学会の説明を読みながら、3つに分けて書きます。先に言っておくと、これをやれば必ず戻る、という話ではありません。

1. 昼夜逆転のとき、何が起きているのか

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2024年2月)のこども版に、こんな説明があります。思春期が始まる頃から睡眠・覚醒リズムが後ろにずれ、夜寝る時刻が遅くなり、朝起きるのが難しくなる傾向がみられる。中学生が夜型に傾くこと自体は、体の変化としても説明がつくんですよね。

休日の話も出てきます。学校のない休日に起床時刻を遅らせると、午前中に日光を浴びることができず、リズムは後ろにずれやすくなる、と。不登校の子に向けた説明ではありませんが、学校に行っていない時期にも同じことが起こりうるのでは、という読み方もできると思います。

寝る時刻が23時ごろ、1時ごろ、4時ごろと遅くなると眠る帯が後ろへずれ、午前の光の時間帯と重なって光を浴びにくくなることを示したイメージ図

ここがいちばん大事だと思っています。同じガイドは、夜ふかし・朝寝坊の習慣が長く続いて朝起きることが難しくなり、登校が困難になることもある状態を、「睡眠・覚醒相後退障害」と呼ばれる睡眠障害の一つとして説明しています。そして、自分の意志だけではリズムの乱れや蓄積した睡眠不足に抗うことができなくなった結果とも考えられている、と続きます。お子さんがこれに当たるかどうかは、私には分かりません。でも、「気合が足りない」だけでは片づかない可能性がある、ということです。

文部科学省の委託事業「不登校の要因分析に関する調査研究」(2024年3月公表)では、不登校のきっかけや辛かったことを尋ねる項目で、不登校の児童生徒239名の回答のうち、「夜眠れない・朝起きられない」が7割前後に見られました(2026年11月7日確認)。対象は4つの教育委員会の協力で調べた、2022年度に小学3年生から高校1年生(中学3年生を除く)だった子たちで、239名は教師が不登校として報告し、本人も年間欠席30日以上と答えた子です。中学生だけの数字でも、全国の数字でもありません。

2. 親が迷うところ。「怠けなのか」「病院なのか」

「怠けているだけでは」について。 日本小児心身医学会のページは、起立性調節障害(OD)を、立ち上がった時に頭痛、めまい、倦怠感などの症状がでる病気と説明しています。症状は午前に強く午後に軽くなる傾向があり、夜に目がさえて寝られず起床時刻が遅くなって、悪化すると昼夜逆転生活になることもある、と。有病率は軽症例も含めて中学生の約10%、不登校の約3〜4割にODが併存するとも書かれています(2026年11月7日確認)。

同じページには、家族がODの症状を気持ちの問題と考えて「子どもが怠けているから」とネガティブにとらえがちなこと、それが子どもにとって心理的ストレスとなり、OD症状を悪化させてしまうことも書かれています。もちろん、昼夜逆転の子がみんなODというわけではありません。ただ、午前中に動けない体と、やる気がないことは、外から見ても区別がつきにくいと思うんです。そこを親が家で決めなくてもいい、と私は思っています。

「病院に行くほどのことなのか」について。 学会のページには、立ちくらみ、朝の起床困難、午前中に調子が悪く午後に回復する、などの項目のうち3つ以上、あるいは2つ以上でも症状が強ければODを疑う、という目安があります。項目の全体は学会のページで読めます。家で診断するためのものではなく、医師に話すときの材料だと私は思っています。睡眠ガイドも、睡眠・覚醒相後退障害のような状態について、できるだけ早く医師に相談することが重要としています。

3. 「早く寝なさい」のほかにある選択肢、3つ

どれが正解ということはなくて、全部やる必要もないと思っています。

朝の光に的をしぼる。 ガイドは睡眠・覚醒相後退障害の説明の中で、朝起きられない場合は家族が朝にカーテンを開けるなどして、できるだけ太陽の光を浴びられるように、としています。「起きなさい」と声をかけるのとは違う関わり方なので、言い合いになりにくいかもしれません。ただし続きがあって、重症例では明け方に眠りにつき夕方に起床する場合があり、そのときは寝つく前の明け方の光で寝入るのがさらに遅れる可能性があるとも書かれています。ずれ方で光の扱いが変わるので、医師に聞きたいところです。

夜を削るなら、昼の楽しみとセットで考える。 ガイドのコラムに、特段の理由がないのに夜ふかしをしている「就寝時刻の先延ばし」の話があります。例はテレビ、ゲーム、SNS。家庭での電子機器使用に関するルールづくりが有効な場合があるそうです。注目したいのはその続きで、先延ばしをやめると余暇の時間が減る場合があり、適切な余暇活動が減ることはストレスの増加や抑うつにつながる可能性があるので注意が必要、と書かれています。だから寝る前の余暇を日中に十分補えるように工夫すると良い、と。スマホを取り上げて終わりにせず、昼に楽しいことが残っているかも一緒に考える、という見方です。ゲームとの付き合い方は「ゲームばかり」の記事に書きました。

親だけで抱えず、相談先に話す。 体のことならかかりつけ医や小児科。学校に行っていないこと全体の相談なら、世田谷区の不登校支援窓口(教育総合センター、03-6453-1523、月曜〜金曜の午前9時〜午後5時、祝日・年末年始を除く)があります。東京都には、東京都教育相談センターの電話相談(0120-53-8288、24時間対応)もあって、保護者からの、いじめ以外の教育の相談も受けています。番号と時間は2026年11月7日に確認したものです。夜中に不安になったとき、24時間の窓口があると知っているだけでも、少し違うかもしれません。親のほうがつらくなったときのことは親の罪悪感についての記事に書いています。

「早く寝なさい」のほかにある選択肢として、朝の光に的をしぼる、夜と昼をセットで考える、親だけで抱えず相談するの3つを、明け方の光の注意点と相談先の電話番号とともにまとめた図

まとめ

  • 昼夜逆転は、本人の意志だけの問題とは限らない。思春期には睡眠のリズムが後ろにずれやすい
  • 朝起きられない背景に起立性調節障害や睡眠の障害があることもあり、判断は医師の領域
  • 朝の光、昼の楽しみ、相談先。「早く寝なさい」のほかにも選択肢はある

夜中に部屋の明かりがついているのを見ると、親のほうが眠れなくなりますよね。責めたくなるのも、心配しているからだと思います。その心配の向け先を、本人から「何が起きているのか」に少しずらしてみる。そのきっかけになれば、この記事の役目は果たせたかなと思います。

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この記事を書いている私の教室です。小田急線・経堂駅から徒歩1分。自習型なので、平日の昼間など、学校に行っていない時間帯にも通えます。ゲームを作ったり、タイピングをしたり、夢中になれる時間を過ごしに来る子がいます。

iTeen経堂駅前校で、3Dの制作画面を見ながらキーボードとマウスを操作する手元 iTeen経堂駅前校で、3Dの制作画面に向かう生徒の後ろ姿
教室外観
iTeen経堂駅前校の外観。経堂駅から徒歩1分、パリビル2階
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世田谷区経堂1-21-16 パリビル2階(小田急線 経堂駅から徒歩1分)

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    著者:鈴木岳史
    iTeen経堂駅前校 教室長/不登校支援カウンセラー

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