この記事で分かること
- 作る側になって変わるのは、ルールを決めて、試して、直すという「やること」。子どもがどう変わるかは言い切れない
- ゲームを作れば学校に戻れる、という約束はできない。出席扱いには要件があり、判断するのは学校
- 選択肢は、家で無料のツール、地域の無料の場、教室、今は作らない。どれが正解ということはない

こんにちは。経堂でプログラミング教室をやっている鈴木です。
教室の責任者で、不登校訪問支援カウンセラーでもあります。医師ではないので、医療の判断はできません。
お子さんが学校に行っていない時期に、家でゲームばかりしている。親としては不安になりますよね。「どうせやるなら、作るほうに興味を持ってくれたら」と考えることもあるかもしれません。
先に立場を書いておきます。うちはゲームを作る教室なので、私はこの話に肩入れしやすい人間です。なので今日は、公的な資料と私の考えを分けて書きます。それと、「作ると子どもがこう変わる」という話はしません。子どもによって違うし、言い切れることではないからです。
1. 遊ぶ側と作る側で、やることはどう違うのか
数字をひとつだけ。こども家庭庁の令和7年度の調査(2025年11〜12月実施、満10〜17歳の本人が回答。2026年11月5日確認時点で最新)では、インターネットを使っていると答えた小学生(10歳以上)の85.5%、中学生の87.1%が、使い道に「ゲームをする」を挙げています。学校に行っているかどうかで分けた数字ではありません。心配そのものについては不登校の子が「ゲームばかり」。親が知っておきたい3つのことに書きました。
作る側に回ると何が違うのか。ここからは私の整理ですが、3つあると思っています。
ルールを、自分で決める。 遊ぶときは、ジャンプの高さも敵の速さも、もう決まっています。作るときは、それを全部自分で決めないと動きません。「このボス、強すぎでしょ」と言っていた側が、「このボス、どのくらい強くしよう」と悩む側に回るわけです。
うまくいかない相手が、自分の作ったものになる。 遊んでいて負けたら、もう一回挑むか、攻略を調べます。作っていてキャラが壁をすり抜けたら、自分が組んだ手順のどこかがおかしい。どこがおかしいかを探して、直して、また動かす。この繰り返しです。
遊ぶ人のことを考える。 誰かに遊んでもらうなら、難しすぎないか、説明なしで分かるか、が気になってきます。自分が楽しいかどうかのほかに、もうひとつ考えることが増えるんですよね。

公的な資料にも、これに近い話があります。文部科学省の「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」の中で、「プログラミング的思考」は、ざっくり言うと自分がやりたいことのために、どんな動きをどう組み合わせるかを考え、組み合わせを直しながら意図に近づけていく力と説明されています。
ただ、これは小学校の教育についての資料で、ゲーム作りや不登校の子について調べたものではありません。同じ手引には、「プログラミング的思考」はプログラミングの取組のみで育まれたり、働いたりするものではないとも書かれています。ゲームを作ればこの力がつく、と言える資料ではないんです。
2. 親が迷うところ。画面の時間、学校、出席扱い
「作っていても、結局ずっと画面の前では」。 これは、そのとおりです。作る側になっても、画面の時間が減るとは限りません。作っているから安心とも、遊んでいるからダメとも言えないと私は思っています。睡眠や食事が崩れているなら、作っていても気にしたいところです。体のことなら小児科やかかりつけ医、学校に行っていないことの相談なら、世田谷区の教育総合センターにある「不登校支援窓口」(幼児、小中学生と保護者が対象)があります。世田谷区以外なら、文部科学省のページ「不登校に関する地元の相談窓口」に地域の相談先がまとまっています。
「作るようになれば、学校に戻れるのか」。 そういう約束は、私にはできません。文部科学省の令和元年の通知には、不登校の子への支援について、「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、子どもが自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があると書かれています。作ることを、学校に戻る手段としてではなく、本人が面白いと思うかどうかで見る、という考え方もあります。
「出席扱いになるのか」。 文部科学省の保護者向けの資料によると、自宅でICT等を活用した学習活動を行っている場合、一定の要件を満たせば、学校は出席扱いにできます。義務教育段階の主な要件には、保護者と学校の連携、訪問等による対面指導が定期的かつ継続的に行われること、理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること、などが並びます。家でゲームを作っているから自動的に出席扱いになる、というものではなく、判断するのは学校です。制度の全体は不登校の自宅学習が「出席扱い」になる制度とは。文科省通知を整理にまとめました。
3. 作る側に触れるなら。選択肢を4つ並べます
どれが正解ということはありません。合わなければやめてもいい、くらいの軽さで並べます。
家で無料のツールに触る。 たとえば、ブロックをつなげてプログラムを作るScratch(スクラッチ)があります。公式団体のサイトには、誰でも無料と書かれています。保護者向けの公式ページによると、主に8〜16歳向けに作られていて、ほかの年齢の人も使っています。作品を世界中の人と共有できる場でもあるので、交流が気になるなら、オンラインの場に入らずに作品を作れるオフライン版もあります。
地域の無料の場に行く。 CoderDojoは、子どものためのプログラミング道場をうたう国際的な非営利活動です。参加者から料金を取ることはできない決まりです。公式サイトには、世田谷区で開催している道場としてCoderDojo 砧(毎月開催)とCoderDojo 新代田(不定期開催)が載っています(2026年11月5日確認)。ほかの子もいる場なので、今の本人に合うかどうかは別の話です。
プログラミング教室に通う。 うちもここに入ります。費用がかかりますし、通える時間帯や教え方は教室ごとに違います。
今は作らない。 本人が遊ぶ側でいたいなら、それも選択肢です。作るかどうかは本人が決めること、という考え方もあります。遊んでいるゲームの話を聞いて、「これ、どうやって作ってるんだろうね」と一言置いておく。そのくらいの距離もありだと思います。

まとめ
- 作る側になって変わるのは、ルールを決めて、試して、直すという「やること」。子どもがどう変わるかは言い切れない
- ゲームを作れば学校に戻れる、という約束はできない。出席扱いには要件があり、判断するのは学校
- 選択肢は、家で無料のツール、地域の無料の場、教室、今は作らない。どれが正解ということはない
ゲームの裏側には、誰かが決めたルールがあります。お子さんが作るかどうかは別として、そう思って画面を眺めると、ゲームの話の聞き方が少し変わるかもしれません。この記事が、そのきっかけになればうれしいです。
著者:鈴木岳史
iTeen経堂駅前校 オーナー・教室責任者/不登校訪問支援カウンセラー
参考・出典
- こども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)」令和8年3月(2026年11月5日確認)
- 文部科学省「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」令和2年2月(2026年11月5日確認)
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日(2026年11月5日確認)
- 文部科学省「不登校児童生徒の出席扱い・成績評価について【保護者等向け】」(2026年11月5日確認)
- 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」(2026年11月5日確認)
- 世田谷区「「不登校支援窓口」をご利用ください」(2026年11月5日確認。受付時間は変わることがあります)
- Scratch Foundation公式サイト(2026年11月5日確認)
- Scratch「For Parents」(2026年11月5日確認)
- CoderDojo Japan公式サイトと「CoderDojo 情報まとめ (Kata)」(2026年11月5日確認)

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